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藤間姉弟の右手首にはミサンガのようなお守りがつけられている。学校からは何度か注意を受けたが、その度に母親が出向き、「家庭の習わしなので・・・」としっかりと説明をし、それに関する書類も書いて届け出をしている。
姉の藤間友香は紫色を真ん中に、左右は赤と青で彩られたミサンガ。
六歳年下の弟、藤間玄弥は白を中央に緑色と茶色が左右に彩られている。
二人が手首に着けたミサンガは、それぞれ生まれた時から着けられている。年を重ねるたびに体も大きくなっているが、その成長に合わせて手首のミサンガも不思議なことに成長している。
「お誕生日おめでとう。友香も16歳になったんだな・・・」
父親が誕生日ケーキを前にして、この16年間を振り返るような話をしだした。それは長い話になることが分かっていた友香は、「パパ。ケーキ食べてもいい?」と話をはぐらかす口実を作った。
「あぁ・・・、いいよ」
「美味しそう・・・。私の好きなイチゴがこんなにたくさん!」
「姉ちゃんはチョコだろう!一番好きな物は」
弟の玄弥がコーラの入ったグラスを持ちながら話に茶々を入れた。
「うるさい!どっちも好きなの」
友香は左手で弟の足を叩こうとしたが、素早く避けられ左手は空振りした。
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