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藤間玄弥は二十歳の誕生日に実家から送られてきた手紙を開いた。
玄弥が11歳の時に姉が強姦に襲われる事件が起こり、それをきっかけに両親と姉は行方不明になった。
半年後、両親は遺体で見つかり、姉の藤間友香は未だに見つかっていない。
「姉ちゃんがまだ生きているなら・・・。26歳?か・・・」
両親と姉を失って10年弱。その間、実家には母方の祖父母が親代わりになって面倒を見てくれた。
母方の祖父母が来てくれたのは嬉しかったが、この時初めて会ったのだ。
「初めましてだね・・・。玄弥ちゃん。お婆ちゃんとお爺ちゃんが、お父さんとお母さんが戻ってくるまで面倒見るからね」と言いながら、カバンの中から出してきた手紙を見せてくれた。
その手紙は、母親が行方不明になる前日に、玄弥に手渡した手紙と筆跡は似ている。
「お母さんから手紙は預かっているかい?」
祖母は優しく聞いてきたので、玄弥は頷きながら母からの手紙を広げて見せた。
祖母はそれを重ねると、「間違いないね・・・。この三つの文様が合ったよ・・・」と答えて見せた。
玄弥が開いた手紙は、祖母からの手紙だ。
―玄弥へ
両親が亡くなってから9年が過ぎた。玄弥が16歳の時に話をしたことを覚えているかい?あれから4年が過ぎた。玄弥も二十歳になりましたね。二十歳になったのなら、力の使い方も学んでいると思いますが、16歳の時に話した通り、腕輪の力は使わないで、一生、封印をしたままで生きてください。約束です。もう、お婆ちゃんもお爺ちゃんも玄弥を守れる体じゃないし。能力も失った。玄弥が力を解放すれば、友香の腕輪を盗んだ者が襲ってくるかもしれない。だから、両親の二の舞にならないよう。頑張って生きてください ―
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