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新たな思考
柏木家のリビング。
テーブルに電卓とメモ用紙を置き、通帳を見ながら雅は悩んでいた。
この家にかかる電気代、それから水道代や税金は、父親の遺族年金から引き落とされていた。
この家は、30年ちょっと前に建てられた建物だ。
すごく古い訳では無いから、すごく問題がある建物では無い。
けれど、『買い換え時かな…』と、最近思っていた電化製品がいくつかある。
そして、きしむ床、外壁も塗り替えが必要だと数年前に言われていた事も思い出した。
全てを少しずつ変えていかなくてはいけないとして、1年間にどれだけのお金を使うのだろう…。
雅の中で、1つの選択肢が出ていた。
それは、
『この家の売却』
1人で住むには広すぎる築30年の2階建て。
お祖父ちゃんが建てた一軒家だ。
お父さんとの思い出だってある家。
大事だから残したいと、お祖母ちゃんも亡くなる前に言っていたけれど、私1人でこの家を維持するには少し無理があると気付いた。
この家を売って、お母さんが帰ってきても一緒に暮らせるくらいの小さな家を買っても良いし、マンション暮らしにしてもいいかも…。
でも、お母さんが反対するかな…。
心配が頭を過る。
考えた結果、母の事は、いい物件があれば相談することを考えるとして、とにかく良い家があるか探そうと思い、私は周りに協力を求めることにした。
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