お見合い

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お見合い

平日の昼休み。 雅は、川合課長に呼ばれて会議室に来ていた。 『異動?…それともクビ??』 不安が頭を過る。 そんな不安げな私の顔を見て、川合課長は微笑みながら、 「仕事の話じゃ無いんだ」 と、私に告げた。 そして、 「いやね、新居を探してあげようとしていたら、君にお見合いの話が出てね。…どうかな? してみないか? お見合い。」 そう聞かれ、私は突然の話に戸惑いながらも、 「…考えてみます」 と答え、会議室を出た。 この一大事を、皆が騒ぎ立てる。 そのお見合い話は、大学にいた茜にもバイト仲間から連絡が来た。 夕方の友達との約束を後日に変更してもらい、慌てて茜は家に帰った。 「お母さん!大変!雅さんがお嫁にいっちゃう!!」 玄関から、大きな声で叫びながら、リビングにいる由美のもとへと走り寄った。 由美は驚きながらも、冷静に受け止め考えていた。 『雅ちゃんにとっての幸せ、本当の一番は…?』 頭の中で、今までの雅の言動を思い返す。 そして、 「大地には言わないようにね」 と、茜に釘を刺した。 「えっ?お兄ちゃんに教えなくていいの?」 素直な疑問が茜の口から出てきたが、 「いいから」 と、その一言で茜を黙らせた。 大地に伝えたら、動揺の挙げ句、ストーカーのようにもなりかねない。 大地は、雅ちゃんの事となると行動が空回りするから…。 今は、正確な情報を得ることと… 『雅ちゃんの素直な気持ちが知りたいな…』 と、由美は思った。
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