茜と由美の思考

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茜と由美の思考

私、川崎茜には、イケメンの5つ離れたお兄ちゃんがいる。 私が物心ついたときから、モテていた。 私に対しても、優しくて穏やかな兄だった。 今までの彼女さんに対しても、穏やかで寡黙で、彼女さんの話を優しく聞いてるイメージしかなかった。 そのはずだったのに…。 今のお兄ちゃんは何か違う。 雅さんが仕事に行って、お兄ちゃんも居ない、お母さんと二人だけのリビング。 思いきって聞いてみることにした。 「お母さん、お兄ちゃんって、昔どんな感じだったの?」 そう聞かれた由美は、少し考えて、 「私もね、最近の大地を見ていて気になってたの」 と、答えると、 「茜が生まれてから、大人にならなきゃってなった気がするわ。 幼稚園の頃は、雅ちゃんにくっついて甘えてたもの」 と、最近思い出したことを茜に伝えた。 「えっ? 二人って仲良かったの?」 意外な組み合わせに、茜は思わず声が出た。 「そうよ~! どちらかの家の前でいつも二人で道路に落書きしたり、おままごとしたりしてたのよ」 昔を思い出しながら、由美はそう言って笑った。 「でも、私が茜の世話に忙しくなったら、大地は甘えなくなって、1人で何でもやろうとするようになったのよ」 母にそう言われて、 『私が離れさせちゃったのかな…』 と、少し落ち込んだ。 そして、 『よし!今二人が両想いなら、今度は私がキューピットだ!』 と、新たな目標を掲げた。 一方の由美も、茜と話して、今までの事を思い返していた。 この先、この2人がどうなるのかはわからないけれど、2人が幸せになれたらな…と、由美は思っていた。 『もしかしたら、大地次第かもね…』 そう思うと、溜め息がつく。 『空回りしなきゃいいけど…』 そう思いながら、2人の事を思っていた。
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