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同居生活
私と大地は、ほどよい関係の同居生活だ。
朝と夜、一緒にご飯を食べて、夜ごはんの後は、由美さんや茜が居れば、皆でテレビを見ている。
たまに、家で大地と二人きりの時もあるけれど、そのときは、お互いに部屋から出ずに、別々の時間を過ごすのが当たり前になっていた。
川崎家では、家族で誕生日を過ごす。
私もその一員になれて、すごく嬉しかったけれど、大地の誕生日の日に、女の子からのプレゼントを見つけてしまうと、心は沈んでしまう。
バレンタインデーも、同じ。
たくさんのチョコを持ち帰る姿を見ると、私からのチョコは渡す勇気が無くなってしまう。
渡せる女の子が羨ましい。
私と同じように、諦めきれない思いで渡した子だって居るだろう。
『義理チョコだ』
と、言って渡そうかと思うけれど、反応が怖くて誕生日もバレンタインデーも何も渡せなかった。
大地が近くにいることが、近くに居てくれることが、幸せなはずなのに…、どんどん欲が出てしまう。
それでも…、
気付かれたら、どうしよう…。
知られて振られでもしたら、ここには居られない。
それに…、
母親のことが頭を過る。
溜め息をつく。
…私は、恋なんてしてる場合じゃないんだ…。
だけど、でも…、
好きが溢れそうで、この関係を壊してしまいそうで、私は怖くなっていた。
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