突然のお見合い?

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和食屋さんでの食事を終えた後、 「送る」 と言って、啓太が駐車場へ向かい歩き出した。 「電車あるから、遠慮するわ」 と言って、雅が駅の方へ向かおうとすると、 「じゃあ、お見合い上手くいったって親父に言おうかな~」 と、啓太はニヤつきながら雅に言った。 雅は、睨みながら、 「さっきの良い人どこ行った?」 と言うと、 「だって、王子様の家見たいもん♪」 と啓太が言い返した。 『…私を送りたいんじゃなくてね…』 と思いながら、雅は溜め息をつき、啓太が折れない性格なのも思い出し、諦めて送ってもらうことにした。 啓太の車は、啓太に似合う赤のスポーツカーだった。 雅はまだ大地の車に乗ったことがない。 何度か機会はあったが、気持ちがばれてしまいそうで、理由をつけては乗らないようにしていた。 それに、高校を卒業してから、恋人も居なかったため、男の人の車に乗せてもらうのは初めてだった。 帰りの車の中で、その話を啓太にすると、 「あ?それ、まずいじゃん!いや、逆に上手くいくパターンになるのか…?」 と、啓太は真面目に悩んでいた。 雅は、そんな啓太を不思議そうに見ながら、 「…なんの話?」 と問いかけると、啓太は笑って、 「いや、別に」 と答えると、また話題を変えて話し始めた。 元のクラスメイトと言うこともあって、誰が付き合っていたとか、今あの子は結婚したとか、お互いの知る周りの子達の話をしていると、いつの間にか川崎家の前に着いた。 「え?家の前じゃなくていいんだけど」 と、思わず雅が問いかけると、 「その方が都合いいって」 と啓太に言われ、雅は納得がいかなかったが、しぶしぶ車を降りた。 その様子を見て、啓太も車から降りた。 啓太は視線を感じて川崎家を見上げると、2階の窓の所に男が立っていて、こちらを睨んでいるように見えた。 『あれが王子様か?』 啓太は、好奇心で雅に近づき頭を撫でた。 そんな啓太の行動を睨む雅に、 「脈ありかもよ」 と、啓太は笑った。 首をかしげる雅に、 「ここまで来たなら、王子様諦めるなよ!」 と言って、帰っていった。 啓太の車を見送ると、雅は川崎家に帰った。 リビングには茜がいて、 「雅さん!お見合いしたの?」 と聞いてきた。 驚いた雅は、 「違う!違う!高校のクラスメイトで、上司の息子と久々に会っただけよ」 と、言い訳のように伝えると、 「雅さんがお見合いと思って会った訳じゃないならいいや」 と言って、茜は少し安心した様子で自分の部屋へと戻っていった。 残された雅は、 『もしかしたら、大地もお見合いだと思ってるのかな…』 大地に誤解されたくない思いの雅は、勇気を出して大地の部屋の前に行き、ドアをノックした。
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