突然のお見合い?

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大地の部屋をノックすると、 「はい」 と、大地の声がした。 大地の部屋にほとんど訪れたことのない雅は、心臓が飛び出しそうなくらいドキドキしていた。 「私、雅だけど、開けていい?」 無意識に、祈るように胸の前で手を重ねていた。 返事がなく、待っていると、 「何?」 と、無表情の大地が顔を出した。 「あのね、お見合いって聞いてるかもしれないけど、高校のクラスメイトに会っただけなんだ」 緊張で頭が真っ白になってしまった雅は、言い訳のような言葉が口から出てしまった。 うつむき加減で話していた雅だったが、大地が無言だったため、気になって視線を上げると、大地は雅の顔をじっと見ていた。 「あいつのこと、好きなの?」 と大地が聞いてきた。 雅は、 「ぜんぜん!」 と、思い切り首と手を振り、違うと伝えた。 すると大地は、先ほど見た啓太がしていたように雅の頭に手を置き、 「こんなこと、あいつにさせんなよ」 と言って、部屋を閉めてしまった。 大地の部屋の前に取り残された雅。 啓太にされたときは何とも思わなかったのに、大地が頭に手を置いた瞬間から、頭が熱くなっていた。 両手で顔を覆う。 『キャー!』 と、喜び叫びたいのを我慢して、跳び跳ねたいのも我慢して、何とか体を落ち着かせる。 雅は、こんな風に大地に近付いてもらえた事が嬉しくて、すごく嬉しくて、幸せな気持ちになっていた。 一方の大地も、ドアを閉めた部屋の中で、雅に触れられた喜びにガッツポーズをしていた。 雅に触れた自分の手のひらを見つめる。 『やべぇ、俺頑張ったわ』 と、大地は自分を褒めていた。
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