雅と大地

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しばらくして、 「そばにいるから、もう寝ろ」 大地の言葉で、ベットに入る雅。 雅のベッドの傍らで、座って腕を組み、ベットに寄りかかりながら目を閉じる大地。 雅は横になりながらも、目を閉じてる大地の横顔を見つめていた。 大地が目を閉じたまま、 「なんか、期待してるの?」 と、少し意地悪な言い方で雅に問い掛けた。 雅は慌てて、 「寝ます!寝ます!おやすみなさい!」 と言って布団を被り、布団の中でこのやりとりが可笑しくて、思わず微笑んだ。 『あっ、こんな時に笑ってる…』 あんなに辛かったのが嘘のように、今こんなにも心が穏やかなのは、大地がそばで支えてくれている安心感だろう。 1人で抱え込んでいたら、希望も持てなかった。 母の事は辛いけれど、大地が言っていたように、幸せになれる方法を考えようと思えた事が、心が穏やかになれた理由の一つだ。 『おかあさん…、大切な私の…』 潜った布団の中で、目を閉じて母を想う。 そして、 『大地…、そばにいてくれてありがとう』 伝えそびれた言葉が頭の中に浮かぶ。 大地の言葉が、気持ちが嬉しかった。 でも、 『いつか、同情だと気付くかも…』 その事も頭から離れない気持ちの一つだった。 複雑な思いのまま、雅は布団を被ったまま眠りについた。
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