雅と大地

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雅が寝てしまったのを確認して、大地は部屋を出た。 そして、リビングへと降りていくと、深夜にもかかわらず、大輔と由美がまだソファに座っていた。 大地を不安そうに見つめる2人に、 「居ると思ったよ。 雅は大丈夫だから、もう寝て」 と、声をかけた。 それでも、なかなかソファから立たない両親に、 「俺さぁ、雅と結婚したい」 そう、大地は切り出した。 大輔と由美は、突然の結婚宣言に驚いた。 「お前、今この状況で結婚って…」 大輔が思わず否定的な言葉を伝えると、 「今、保護者の母さんが、先に何でも知る事が出来て、雅とも話せてる。 俺が夫になれば、おばさんの事も雅の事も1番に連絡が来て1番に支えてあげられる」 「…今がもどかしいんだ…」 大地の悔しさを滲ませた言葉に、大輔も由美も返す言葉が無かった。 「俺の気持ちは伝えたから。 雅にも」 そう話す大地の言葉に、 「雅ちゃんは、結婚するって?」 と、大輔が問い掛けると、 「…わからない。 でも、嫌じゃないと思う」 そう、自信無さげに大地は答えた。 大輔は、 「お前の気持ちばかりが先走るなよ。 ちゃんと雅ちゃんの気持ちが結婚したいと思うなら、俺達は反対しない」 そう言い返すと、 「わかった」 そう言って、大地は2階へと上がっていった。 大地の居なくなったリビング。 由美は、 「大地が支えきれるのかしら…」 と、少し不安げに大輔を見つめる。 「大地の思いが、雅ちゃんの支えになるといいんだけどな…」 確信の持てない大輔も、ただただ2人が寄り添えます様に…と願うばかりだった。
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