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大地と元カノ…大地視点
次の月曜日。
今日は、仕事終わりに雅が病院へ行く日だ。
雅が心配だけど、
「1人で行くから、大丈夫」
そう言われると、無理についてはいけない…。
『…結婚、したいな…』
頭の中で、そんなことばかり考えてしまう。
独り言が漏れていたようだ。
隣の席の相川に、
「女の子、紹介しようか?」
と、言われた。
返事をするのも面倒だったので、スルーしていると、
「あっ、山下桃花、知ってるか?」
と聞かれ、この前の飲み会で話したことを思い出した。
相川が、
「めちゃくちゃ綺麗な子で、この前の飲み会にも居たんだぞ! お前を紹介してほしいって言われた!」
と言うから、思わず、
「はぁ?? ありえん」
そう答えると、
「いや、いや、マジ!マジ! 一目惚れされたんじゃないの~!」
と、相川がにやけた顔で言った。
『そもそも、元カノだし』
と言うと、さらに乗り気になりそうだったので、
「好きな女居るから、無理」
と言葉を返した。
これに驚いた相川が、
「は?誰だよ!教えろ~!」
と騒ぐが、そんな相川を俺は無視して仕事に集中した。
その日の仕事終わり、会社の駐車場の俺の車の近くで、山下桃花が立っていた。
「…え?」
戸惑う俺に、一緒に仕事を終えた相川が、
「どうしても会いたいって…」
と、申し訳なさそうに言った。
俺は、1つため息をつき、相川の肩を軽く叩き、
「わかった」
と言って、桃花の所へ向かった。
桃花は微笑み、
「ご飯でも、どう?」
と声をかけてきた。
「家で食べるから、話あるならここで聞くよ」
と俺が答えると、桃花は少し寂しそうな顔をした後、
「良かったら、もう一度付き合わない?って、言いたくて…」
と、少し言いづらそうに言葉にした。
俺が迷わず、
「悪い。大切な奴が居るから、無理」
そう伝えると、桃花は、
「そっか、ごめんね」
と言って、足早に去っていった。
近くで見ていた相川が、
「あんなに即答で答えなくても…」
と言うので、
「変に期待させる方が最低だろ」
そう言葉を返して、相川と別れた。
今は、…いや、今もこれからも、雅1人だけしかいらない。
雅さえ、そばにいてくれたら…
俺は、そう心の中で思っていた。
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