プロポーズの行方

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プロポーズの行方

2人で帰宅すると、由美と大輔が少し驚きながらも、なにも聞かず笑って迎え入れてくれた。 その夜、雅は、ベッドの上で眠れない夜を過ごしていた。 さきほどの大地からのプロポーズ。 嬉しさと同じくらいの不安。 なぜこんなに不安になるんだろう…。 雅は、考えていた。 そして、昔の大地を思い出した。 王子様のような雰囲気で、冷静で心が広くて穏やかで… 最近の大地とは全然違う。 最近の大地は、焦っていたり、不安な顔や悩む顔が多い。 『私が変えちゃったのかな…』 大地に無理をさせている気がして、不安なんだと気付いた。 だから、大地らしくない今の関係に、いつか大地が疲れてしまいそうで怖かった。 『大地を手離せない…、でも、大地が私のせいで無理しているなら…、どうしよう…』 プロポーズを受けるべきでは無いとは頭では分かっているけれど、それでも、手離せない関係になってしまったことに、雅は悩んでいた。 一方の大地も、部屋で悩んでいた。 『プロポーズ…、戸惑わせてしまったな…』 と。 大地の中では、雅との結婚は必然だ。 でも、雅にとっては不安な様だと今日プロポーズをして気が付いた。 …嬉しそうに見えなかった雅の顔を思い出し、大地は不安に駈られた。 『結婚したいと思えるほどは、好かれてないのかな…』 今までの接し方を思い返した。 繋いだ手から伝わる感情。 抱き締めた時の反応。 どれも雅からも想われているからこそだと思っていた。 大地は、それでも、 『雅を諦めることは、もう無理だな…』 自分の気持ちは揺るがない事を改めて思い、雅を大切にしていきたいと心の中で思っていた。
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