異世界の迷い子

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すると、ネコタがトコトコと歩き出した。 「ちょっとネコタ?!」 慌てて追いかけた先には見覚えのある箱が。 それは引っ越し用の『(わんこ)マークの引っ越し社』の箱。 「これって…!」 見ると『台所』とペンで書かれており、やはり自分が運ぼうとしていた台所で使う物を入れたダンボール箱だ。 心夢美が嬉しくなり勢いよく箱を開けてみると、中には引っ越し時に纏めたちょっとした調味料やグッズ、レシピ本が入っていた。 「ネコタ~グッジョブだよ!ありがと~!!」 心夢美はネコタの頭を恐々だが、指先でチョイチョイと撫でた。 「なんだかちょっと安心したかも」 何も無い見知らぬ場所に不安だったが、元の場所にあった物が手元にあるというだけで安心感が物凄い。 他にも何か無いかと付近を探したけれど、残念なことに何も無かった。 これにはガッカリしたが、仕方ないと気持ちを何とか切り替える。 「取り敢えず、これも持って行こうか。使えるだろうし」 キッチン用品の入った箱は少し重いが、服を入れた箱より軽いので、まだ運びやすい。 「さて出発進行!ネコタ、ちゃんと着いて来てよ?」 呼ばれたネコタは「ニャーン」一鳴きして着いて来た。 ネコタの返事を聞いて、心夢美はこの森を抜けるべく今度こそ歩き出した。
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