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特に怪我は無さそうで安心するが、別に呼んではいないので制止ポーズを取ろうとしたものの、心細くて暫し休戦にする。
「ネコタ。ここ、どこだろうね?」
訊ねたところで目の前のネコタは応えない。
「元はといえばネコタのせいで階段から落ちたんだからね?反省してよ」
「ぶにゃぅ」と反省はしないという意思表示に「もしかして、言葉、通じてるんじゃ…?」と疑いの目を向けてしまう。
ネコタは知らん顔で心夢美を見上げるのみ。
「そんなメルヘンな事あるわけないよね。やっぱり夢じゃないっぽい?まさか…でも、本当にどうなってるの?私のアパートどころか、他の家も何も無い…」
そう呟いたら突然怖くなる。
夢だと信じたいけれど、ここで座り込んでいても何も分からない。
心夢美は泣きそうになるのを我慢すると、意を決して目の前に見える道を進むことにする。
きっとここを辿ればどこか拓けたところへ出られるはず。
そうしたら何か分かるかもしれないし、夢なら時間が経てば覚める。
「よし。この道を行こう、ネコタ」
歩き出したしたもののネコタは抱っこしないと何処かへ逃げるかな?と様子を伺う。
出来たら抱っこはしたくない。
ネコパンチや爪でガリッとされたら怖いからだ。
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