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マリリンの兄妹
「マリリンにはやっぱり白いお花よね」
「お姉様にはピンクのアクセサリーが似合いますわ」
マリリンの姉、ロクサーヌと妹ティプルは近付く結婚式に向けて衣装を選んでいる。
…
マリリンの家、メルディス公爵家は四兄妹である。
兄は騎士として遠方に行き、姉は隣国に嫁ぎ、妹は南の国の貴族に嫁いだ。
この環境下でマリリンは酷い仕打ちを受けたのだ。
勿論、愛する妹であり、大好きな姉に酷い仕打ちをされ兄、姉、妹は大激怒した。
聖騎士の称号を得た兄・ルーカスは聖王の許可を得て両親を国外追放し、公爵家を潰した。
聖騎士として新たに伯爵の爵位を授かった、ルーカス曰くあの人達の跡など継ぎたくない、というのが理由だそう。
姉・ロクサーヌの怒りは凄まじかった、隣国の王妃ととなった彼女は愛しい妹が寂しい思いをしているだろうと、可愛いドレスや装飾品をたんまり買って里帰りしたら、妹の姿はなく罪人として国外追放されていたのだ、しかもありもしない罪で。
怒ったロクサーヌの怒りは凄まじく、夫に頼み込み国一番の金鶏を出してもらった。
ロクサーヌの嫁いだ国、ロードリアン帝国は騎馬ではなく騎鳥が一般的でロクサーヌは数多いる騎士の中でも扱いの難しい、金鶏と呼ばれる暴れ鳥を乗りこなす優秀な騎士なのだ。
夫に宥められ国を滅ぼすのには思いとどまったが、悲しみようは凄まじかった。
妹・ティプルの怒りも姉・兄に引けを取らぬぐらいだった、ティプルが姉の扱いを知った時夫に頼み国一番の呪術師に呪いをかけてもらうよう頼んだ。
姉を苦しめた全ての存在に不幸が訪れるように。
そして、ティプル自身がシャーマンなためその呪いは凄まじい効果を発揮する。
「許しませんわ、私の可愛いマリリンにあんな仕打ち。お兄様、聖騎士などやめてくださいませ。そしたら皆殺しにできますわ。」
「馬鹿を言うんじゃない、無辜の民まで殺す気か?心配せずとも、馬鹿な王も王妃も楽には死なせん。」
「そうですわよ、お姉様。マリお姉様を苦しませた罪は、その身で償っていただかなくては。ねぇ?」
アハハハ。うふふふ、と笑いながら祖国の王族を貶めようとする三兄妹にエルヴィスは少し引いた、というかなぜマリリンだけなぜこうもぽやっとしているのだろうと疑問を抱いた。
「おじさま、どうなさったの?」
「なんでもない、似てないね。お前達は」
「うん、よく言われるの。お兄様達は綺麗だから。」
「いや、そう言う意味じゃない…まあ、知らぬが仏だな。」
可愛いよ、とマリリンのおでこにキスを落としながらエルヴィスは笑って誤魔化した。
マリリンは知らなくていいことだ。
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