おじさまが彼氏

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おじさまが彼氏

マリリン・ブルージェリーには年上の恋人がいる、優しいが時々怖いお茶目なおじさまだ。 マリリンはそもそも、王都に住まいを持つ貴族の娘だったが濡れ衣を着せられ王子との婚約破棄され田舎町に追放され両親にも捨てられた。 幸い田舎町に住む祖父母はマリリンの味方で、虫も殺せない子が人をいじめるなんてあり得ないと抗議してくれた。 その後、の王子と運命の人とやらの行方は知らない。 … 「考え事か?マリリン、」 「あ、おじさま。」 「まさか、王子のことか?」 おじさま、エルヴィス・ダチュラの瞳に剣呑な光が宿る、マリリンはその殺気に怯え涙目になる。 「ち、違うの、王都に売ってたシナモンロールが恋しくなっただけなの、」 プルプルと首を横に振る、王都のパン屋【ステラ】に売っているシナモンロールは他の店では絶対食べられないくらいに絶品なのだ。 「アハハ、なぁんだ。もし、王子のことがまだ恋しいなんて言われたら、殺すとこだったかもな。王子を、」 「や、やめて、おじさま」 「冗談だ、王子殺害なんか洒落にならないからな」 エルヴィスはケラケラ笑ってマリリンを抱きしめる、歳の差があってもマリリンは彼が大好きだ。 かつて王子の婚約者だった頃、こんな風に嫉妬されたことはなく小間使いのように扱われる日々だった。 「シナモンロールなら今度買ってきてやるよ」 「え、でも、」 「そのかわり浮気したらダメだ、いいな?」 「しないもん。おじさまが一番好きだもの」 マリリンの言葉を聞いてエルヴィスは満足そうに笑った。 そうだ、もうマリリンにとって王子はどうでもいい存在だ。だって、マリリンには愛するおじさまがいる。 おじさまの愛に包まれて守られて自由に生きている、それが今とても幸せなのだ。 「それに、おじさまの方がキス。うまいもの」 「可愛いね、マリリン。」 口づけを交わせば真綿で包まれたような優しい愛にマリリンは溺れていく。 … 「しかし、俺のマリリン嬢に好き勝手してくれたな。あの王子は。」 「どうなさいますか?陛下」 「しばらく放置、なぁに放っておいても勝手に滅ぶだろうよ。あんな馬鹿王と馬鹿王子の国なんか。」 でも、とエルヴィスは口元を歪める。 「起爆剤を投下した方がいいかもな、」 「なぜですか?」 側近の一人が問う。 「面白いからに決まってんだろ?一々言わせんなよ」 エルヴィス・ダチュラ、北に存在する国【ローヴァス】の王で頭が良く数多の国を落としてきた男だ。 滅んだ国の殆どが内戦などによるものでもっといえば国民達の反感を買ったことで、クーデターが起き滅んだ国が殆ど。 そしてその多くは、エルヴィスが少し[弄った]結果である、故にエルヴィスは名君と呼ばれる一方大陸一の外道君主とまで呼ばれている。 そんな男に溺愛され、将来的には妃になるであろう純粋なマリリンにメイド長のセリーネは心底同情した。
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