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おじさまは腹黒い?
その子の存在は昔から知っていた、親父が地団駄して悔しがっていた。高貴な身分のお嬢さん、随分と甘やかされている、そう思っていたエルヴィスの考えは一蹴される。
華やかな舞踏会の会場でパートナーに放ったらかしにされ、壁の花になっている可憐な娘。
カーネンション色の長髪にフレンチローズの大きな瞳、年甲斐もなく心奪われた。
パートナーであるあの王子は彼女のことをほったらかしに、他の女と話している。
「いらねぇなら、貰っても構わないよな?」
…
「マリリン、貴様はなんの罪もないミカリを虐めた、よって婚約破棄し国外追放とする」
なんの罪もない子を断罪した馬鹿王子に向けられるのは称賛ではなく、冷ややかな視線だけ。
「前座、ご苦労さん。あの子は幸せになるから黙って消えろ、」
王子には聞こえない声で、泣きじゃぐるマリリンを迎えに行くおじさんは王子様じゃないけどまあ良いだろう?
何もかもから守ってあげような、穢らわしいものは消して。お前の瞳に映るのは俺だけでいい。
もう、実家で冷遇されなくて良いんだよ。
もう、王子に小間使いのように扱われなくて良いんだよ。
もう、他の王子達から純潔を狙われなくて済むんだ。
お前は俺の目に囚われて、真綿のような愛に守られれば良いのさ。
それから程なくして、エルヴィスの暇潰しにより聖王国グランバルにとんでもない噂が広まることとなった。
それはまたの機会に。
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