自分のなぐさめ方

1/1
前へ
/91ページ
次へ

自分のなぐさめ方

 ある会社の株を買い損ねました。  名前は知っているけれど、その会社の製品は使ったことがありません。  マーナには必要のないものなのです。  しかし、あのとき勇気を出して百株購入していれば、すぐに七万円ほどの利益が出ていたのです。  全く、悔しいったら……。  どうして迷ってしまったのだろう。  決断力のない自分、先見の明のない自分、判断力のない自分を責めに責め、気分は憂鬱でした。  マーナの友達は、何人もその製品を使っています。でも、その製品がそこの会社のものかどうかは不明です。興味もなかった。  マーナにとっては、それほどまでに無関心で縁のないものだったのです。    若かりし頃は、彼女たちがそれを道に落としたとき、アッタ! と見つけ出すのがマーナの役目でした。    と、ここまで書けば、何の会社かおわかりになるでしょう。  昔に比べて、それは進化してきています。目とレンズの間に空気を通したり、使い捨てになっていたりしていて、とても良い製品らしいのです。  使ったことないから知らんけどな。  しかし、夜に洗って専用のケースに保管しなければならないし、金額だって馬鹿にならないようです。  手間もかかればお金もかかる。  マーナは百均の老眼鏡を外すだけでこと足ります。マーナの老眼鏡と目の間には、充分な空気が通っています。  これって、実は、とてもありがたいことなのでしょう。  その製品を使ってらっしゃる方、お気を悪くされたらごめんなさい。  でも、老眼だって不便です。遠くはよく見えるのに、文庫本の文字や薬の箱の説明書きなどは、老眼鏡がないとわからないのです。マーナは、そこに乱視と強烈なドライアイも加わっています。  今、神に、四十年前の美貌か四十年前の視力か、どちらかを与えてやるから選べ、と言われたら、迷いなく四十年前の視力を取るマーナです。  だって、美貌は今も健在なんだも……???  精巧にできているカメラのレンズだって、そうです。キャノ〇だ、ニコ〇だと言ってみても、神が創り給いし人間のレンズには敵わない。  ただし、見たものが脳に正しく認知されているかどうかは別問題。  見たから頭に入ったとも言えません。  そんなコピーマシンのような目だったら、今頃マーナは、ネイティブなみに英語を話しているはずです。  ここまで考えて、ようやくマーナは、その会社に諦めがつきました。  新人賞にたくさん失敗しているから、自分をなぐさめることは上手いのです。というか、立ち直りが早い。(∀`*ゞ)テヘッ    あぁ、でも、七万円……。  七万円あったら、あれもこれも買えるやん……。  そうして、自分のなぐさめ方は最終章に入ります。  早く市場を出てワードに入れっ!!!  何が七万円じゃっ!!!  ワードの世界は七桁だよ、七桁。\(^o^)/  結果はともかく、書いていれば幸せだって、これはある種の不幸なのか?  いやぁ、やっぱり幸せだよね。  エブの皆さまなら、マーナのこの幸福感をわかってくださるのではないでしょうか。
/91ページ

最初のコメントを投稿しよう!

15人が本棚に入れています
本棚に追加