ナニワのおばちゃん三連発

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ナニワのおばちゃん三連発

 まず、一発目のナニワのおばちゃん。  危ないっ!!!!!  そこにいた人たち全員が、心の中でそう叫んだはずなのです。    チャリに乗ったおばちゃんが、しゃーっと走ってきて、そのまま横断歩道に突入しました。もちろん、赤信号でっせ。  驚いたのは、青信号で横断歩道を走り抜けようとしていた大型バイクでしょう。キーッ、とものすごい音がして、おばちゃんはキリキリのところで難を逃れました。そして何事もなかったかのように走り去った。チャリもバイクも……。 「危ないなぁ」  歩行者や止まっていた自転車の人たちは、口々にそう言っていました。  マーナはしばらく心臓がどきどきしていましたが、あることに気づいたのです。  このタイプのおばちゃん、街中によくおるなぁ……。  小柄で痩せていて、必ず帽子(オフホワイトor水色系多し)を被っています。何なら、ワンサイズ小さい自転車に乗っていたりします。  そして、肘を張ってチャリをこぐ。  歩行者に対して、チリンチリンとベルを鳴らすのも平気です。  帽子からはみ出た短い髪にはパーマ。白髪ありの薄い茶色で、髪も細そうです。    もしかしたら、マーナは同じ人を見ているのだろうか……。  否、別人です。でも同じタイプのおばちゃんなのです。  肘を張って自転車を運転しているのは、肩に力が入っているからか?  後ろから見るとよくわかるのですが、何か、チャリに乗っていること自体、すでに危なそうなのです。そのくせ、しゃーっ、と走ってきて、しゃーっ、と歩行者を抜いていきます。  片側が壁の場合、歩行者を内側から抜くのも平気です。マーナも一回やられて、たいそうビックリいたしました。  大阪の歩道は歩行者のものではありません。我がもの顔で走るチャリのものです。お越しの際は、この、しゃーっおばちゃん、に、何とぞお気をつけください。  なにわのおばちゃん二発目。  大手スーパーの通路は広いです。カート二台が余裕ですれ違うことができます。でもだからといって、通路の真ん中を二人で陣取って話すのはなぁ……。 「私のこの靴、足に合わへんでな」 「靴が合わへんのは私もや。辛いなぁ」  すいません。どいてもらえませんか。 「穿く前に、あらかじめ絶対バンドエイド貼っとかなアカンねん」  マーナもそうですけどね。そこ通りたいんですわ。 「私もやで。けど、何か靴に貼るやつあるやん。あれを貼ったら、今度は逆に小さなってまうやろ?」  そうそう、そうなんですわ。  ため息が出ます。  いくら感情移入できるノンフィクションでも、そこ、邪魔です。  マーナもあと十年くらいすると、あんなふうになるのでしょうか。  イヤです!!!  せめて通路の端に寄りたいのですが、そこには商品が並んでいるし、どないしましょ……。  三発目のナニワのおばちゃん。    いきなりガードレール(ガードパイプ)の二段目に足をかけ、靴の紐を結び直した!!!  やはり、小柄で痩せてオフホワイトの帽子を被ったおばちゃんでした。  結んだあと、キッと顔を上げて歩道を見たおばちゃんは、まるでアスリートのようでした。  でも、さすがのマーナも、それは真似できません。  やっぱ恥ずかしいもん。靴紐は、ちょっと脇道に入って邪魔にならないか周囲を見渡してから結びましょう。  ナニッ? しゃがんだら立ち上がれへんてか?  ┐(´д`)┌ヤレヤレ  そういうことですので、おばちゃんたちにも、あたたかい視線をお願いします。
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