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今回の主役はマーナでした
天気のよい日に、少し遠くの神社にお参りしました。
マーナが神社にいくと、たいていオモロイおっちゃんかおばちゃんが出てきて、笑いを提供してくれます。
しかし今回は、自分が主役になってしまいました。
いつものように階段を上っていくと、葦で造られた巨大な舟が、どーんと祀られていました。とこしえの船、といって、神さまが乗られるらしいです。
このような舟を見るのは初めてです。
舟の前には何本かの細い縄が置いてあり、それぞれの思いを込めて船に結んでくださいと、説明がなされています。
船からは、もの凄い数の細い綱が垂れていました。多くの人が願をかけはったのでしょう。
マーナもさっそく結びました。
「来年こそ、本選に上がムニャムニャ……」
随分勝手な願いだと思いながらも階段を上りきり、参拝しました。
適度に参拝客がやってきて、いい感じです。
加えてその日は、職人さんらしき人たちも何人か来てはりました。
工事でもあるのかな? そう思いながら、十分くらい境内をぶらぶら。
そして神さまにお礼を告げ、階段をおりようとしたら……。
船の解体が始まっているではありませんか!!!
ちょっと待ってくださいよ。さっきマーナが結んだばかりなのに、ちょっとっ、ちょっとってば!
マーナの思いとは無関係に、職人さんたちはするすると縄をほどいて束ねていきます。
トホホ……。さっき願をかけたと思ったら、もうこれです。
どういうことよ? またダメってこと?
しょげかえるマーナ。
この縄を結ぶ神事は、どうやらその日が最終日だったようなのです。
手際よく解体されていく舟を見ながら、今までの人生に思いをはせ、涙ぐむマーナ。
しかし、何だかおかしくなってきました。
これぞ絶妙のタイミング。
もしかしたら、自分は神さまに笑いを奉納したのではないか……。そんな気がしてきたのです。
人前とて笑いを堪えていたら、神さまはおっしゃいました。
「きりきりセーフじゃ! しかし結果は知らぬ」
なぜ、日本の神さまが英語を使って時代劇の殿さまのような喋り方をされるのかはわかりませんが(作者の言語能力によるものと思われる)、とにかく願をかけることには、マーナは間に合ったようなのです。
最後はやはり、ナニワのおばちゃんの決め台詞で。
知らんけどな。
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