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「ほら、行こっか」
「…有眞くん、もっかいしよ」
「へ?」
夕華はギュッと腕にしがみつくと、有眞はフッと微笑むとまた触れるだけのキスを交わした。
「もっかい」
「夕華、ダメ」
「ふふっ
何でダメなの?」
「入学式に来たんじゃなかった?」
「そうだけど、有眞くんと二人で居たい」
「入学式終わったらね」
「うん、わかった」
夕華が素直に頷いてはニッコリ微笑むと、有眞は可愛くて仕方がない。
「ほら、行こう?」
「うんっ」
夕華と有眞は図書室を出て教室に戻ろうとすると、こんな現場を目撃してしまう。
「待ってよ、心」
「着いてこないでよ、莉斗」
「待てって!」
莉斗は心の腕を掴むと、壁に押し付けるとキスしていた。
がー。
次の瞬間、パチンッと渇いた音がした。
心が引っ叩いたからだ。
「な、何すんだよ」
「それはこっちの台詞よ!
何勝手な事してるの?!」
春野心はムッとした顔で怒っていたが、藤島莉斗は真顔でこう告げる。
「心が好きなんだよ?
何で無視すんだ」
「そんなの…」
「なんだよ?」
「莉斗は別に私じゃなくてもモテるじゃない?
さっきも告白受けてたでしょ?」
「それは断ったって!
何でそんな疑うんだよ」
「だって…
莉斗モテるもん」
心はムッとした顔で剥れていたが、莉斗はフッと微笑むとギュッと抱きついてきた。
「ちゃんと心が好きだよ」
「…そんなの初耳だよ」
「で?
心はどうなの?」
「どうって…」
「俺好き?」
「…まあ、嫌いではないけど?
キスしたから怒ってるけどね」
「それは心が話し聞かないからだろ?
まあ、悪かったけどさ…」
「…ん?」
心は何気なしに図書室の方を見ると、有眞と夕華が見ているのに気付いた。
「莉斗、見られてる」
「へ?」
莉斗も図書室の方を見やると、二人は気まずそうにしていた。
「ごめんなさい!
見るつもりは無かったんですけど…」
「ううん?
こっちこそ変なトコ見せちゃったわね」
「変なトコではなかったけどな?」
「莉斗!」
「心の返事聞いてないんだけど?」
「だ、だから…」
「あの?
二人は先輩ですか?」
「「あっ!
入学式!」」
二人は思い出したようにそう告げると、有眞と夕華はフッと笑っていた。
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