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町外れの廃墟近くにその探偵事務所はあり、黒の探偵である黒河榛名は朝からコーヒーを片手に新聞を広げて読んでいた。 「ふむ。 栗林帝は相変わらず活躍しているようだな?」 「榛名さん、もう起きてたの?」 「うん、有栖くん? 毎日早起きだね」 「そうだよ、戦争だよ?」 「フッ 子供は育つのが早いからね」 「笑い事じゃないんだよ? 榛名さん…私は」 「…ふむ? 有栖くん、皺寄ってるよ」 榛名はフッと微笑むと、優しく有栖を引きよせるとギュッと抱きしめては頭を撫でていた。 「…!」 「有栖くん、機嫌直った?」 「…だ、ダメです」 「何がダメなんだい?」 「…榛名はすぐ私をヘニャヘニャにしちゃうんですから」 「それは、幾つになっても有栖くんを好きだからだよ?」 「…?! もう、ダメですよ」 有栖は未だに離れてくれない榛名からモゾモゾしながら抵抗しているが、体力の無駄遣いだ。 「フッ 有栖くん、今日も可愛い」 「…! だ、ダメってば」 「ふふっ やだ」 榛名はとても楽しそうにしているが、有栖は未だにそんな意地悪にときめいてしまっているのだ。 「有栖くん、何か作ってる?」 「あ、ケーキを焼いて… あっ?!」 「フッ 楽しみだな」 「榛名さん、離れましょうか?」 「有栖がキスしてくれたらね?」 「…!」 有栖はとてもビックリした顔をしていたが、榛名の意地悪はいつもの事である。 「…有栖くん?」 「目は閉じてね?」 「ふぅむ? それはお願いなのかな」 「意地悪しないで!」 「フッ やっぱり、有栖くんは可愛いな」 榛名はフッと微笑むと、有栖の頭と腰を引きよせると軽いキスをしてはまた微笑む。 「は、離れましょう?」 「ダメ」 「え? キスしましたよね」 「うん? 僕からね」 「…!」 榛名はフッと微笑むと、有栖は真っ赤になりながら戸惑っている様子だ。 「有栖くん、しないの?」 「…わ、わかった」 有栖は覚悟を決めたのか榛名の顔に触ると、自分からキスした。 「んっ」 「有栖くん、やっぱり可愛い」 「は、榛名」 「ん? 離れたい?」 「準備してからならくっつきたいです」 「フッ わかったよ、ハニー」 榛名はフッと微笑むと、頬にキスしてから有栖を解放したが真っ赤になっていた。
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