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「有栖くん、大丈夫?」 「…やっぱり榛名さん意地悪です」 「嫌いになった?」 「好きです」 「ふふっ なら、良かった」 榛名は満足そうにそう告げると、また新聞に目を通していた。 「…」 「有栖くん、どうしたの?」 「相変わらず、イケメンだなって見てました」 「そろそろ、子供達起こさないとだね」 「あっ! まだお弁当作り掛けでした」 有栖はバタバタとキッチンへと戻っていくと、榛名はフッと微笑む。 「可愛いな、相変わらず」 そんな風に呟いていると、黒猫が近づいて来ては榛名の膝に乗ると寛ぎ始めた。 「相変わらず、邪魔が好きだな」 「ミャー」 「フッ 流石、クロの遺伝子だ」 榛名が黒猫を撫でていると、有眞が書斎に入ってきた。 「おはよう、父さん」 「有眞、早起きだね? 今日は何かあるのか」 「うん、ちょっとね」 「ふぅん? 恋でもしてるのかな」 榛名がそんな推理をしていると、有眞は真っ赤になって焦っていた。 「フッ そんなお年頃なんだな〜」 「ま、まだよく分からないんだけど…」 「でも、気になってるんだね?」 「…他の女子よりはってだけだよ」 「それは楽しみだな? 私も有眞を応援しているからね」 「父さん、母さん好きだもんね」 「…ふむ。 有栖くん以外に興味がなかったからね」 「初恋の人だったんでしょ?」 「うん、有栖くんもそうだよ」 「母さんは運命論好きだもんね」 「うん? まあ、そこが有栖のいい所だよ」 「フッ かもね」 有眞はそれだけ告げると、キッチンに向かって有栖に声を掛けていた。 「おはよう、母さん」 「あら? 有眞、早起きだね」 「いつもと変わんないでしょ?」 「ふふっ 榛名さんに似てる」 「そりゃ息子だからね」 「あっ! お弁当出来たトコだったの」 「いつもありがとう」 「…! 有眞〜」 有栖はギュッと抱きつくと、有眞は照れくさそうしていた。 「有栖くん、私はこっちだが?」 「は、榛名さん?!」 「フッ まあ、息子だから許してあげるがね」 榛名はそう告げると、黒猫にキャットフードを与えていた。
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