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「か、母さん? そろそろ離れて」 「あっ! ごめんね?」 有栖はパッと離れると、朝食を並べていたが榛名はジッとその様子を見ている。 「は、榛名さん? 何か? あっ!珈琲お代わりですか?」 「…フッ」 「な、何?」 「有栖くん、顔にソース付いてるよ」 「へ? それ見てたんですか?!」 有栖はパッと手で拭おうとしていたが、榛名が指で拭う方が早かった。 「取れたよ」 「あ、ありがとうございます」 有栖がお礼を言っていると、榛名はペロッと舐めてきた。 「な、何?!」 「フッ 有栖くんは相変わらず退屈させないな」 「ラブラブし過ぎだよ、全く」 「有眞も好きな子が出来たらそうなるさ」 「…! 父さん、それは言わないでよ」 有眞と榛名が愉しそうにそんなやり取りをしていると、有栖は双子を起こしに向かった。 「那海に那南、起きてー 遅刻しちゃうよ」 「「起きてるし! 準備中なのー」」 「朝ご飯出来てるからね」 「「はぁーい」」 那海と那南は一卵性双生児の双子でとてもそっくりだが、有栖は間違えることはない。 「ママ、おはよう?」 「おはよう、那南」 「ママ、おっはー」 「おはよう、那海」 「ママ、どうして間違えないの? パパもお兄ちゃんもそうだけど…」 「ふふっ ママの子だもん? 間違える訳ないでしょ?」 「ママ、鋭いよね? いつもちょっとドジだけど…」 「那海、ドジって酷いなぁー」 「ふふっ パパを結婚相手に選んだのは正解だけどね?」 「もう、那海ったら〜」 那海はポジティブ思考な性格で、那南は真面目で大人しい性格である。 双子でも全く性格は異なるのである。 「パパ、おはよう」 「那海は毎日元気だね」 「おはよう、パパ? お兄ちゃんも」 「おはよう、那南? 今日もお手本のような着こなしだね」 「おはよう、那南に那海」 「お兄ちゃん、早いね? もしかして彼女出来たとか?!」 「煩いよ、那海」 「ふふっ 私も好きな人欲しいなぁ~」 「ほう? 那海は恋をご所望だってよ、有栖くん?」 「那海は今日から中学生になるんだから、まだ早いと思うけどなぁー」 「えぇー 私は彼氏作ったら駄目なの?」 「ダメではなくてね?」 「そうなの?」 那海が有栖にそんな事を聞いていると、榛名がフッと微笑む。
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