☆1

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「パパ、何笑ってるの?」 「嫌、相談に乗ってる有栖が可愛くってね?」 「は、榛名さん!」 「照れなくてもいいでしょ? 有栖くんは可愛いんだから」 「…そうじゃなくて、那海にアドバイスしてくれないですか?」 「ふむ。 まあ、中学生らしからぬ行ないは避ける事かな?」 「…らしからぬって、エッチするって事?」 那海のそんなストレートな発言に有栖と有眞は吹き出してしまったが、榛名は冷静にこう告げた。 「まあ、間違ってはないね」 「わかった! それは約束する」 「ふむ、なら恋してみたらいい」 「パパ、話分かる!」 那海は朝食を普通に食べ始めるのだから、有栖と有眞は顔を見合わせると苦笑。 「中学の入学式はパパが来るんだよね?」 「うん! ママは有眞の高校の入学式行くから」 「しかし、同じ日にしなくてもいいのにね?」 「そうだよね? 後で写真撮らないとね」 「そうだな」 榛名はフッと微笑むと、有栖も楽しそうに微笑んでいた。 それから3人は先に各中学・高校へと登校して行った。 「お兄ちゃん、入学式頑張ってね〜」 「お前らも真面目にしとくようにな」 「那海が大人しければ平気」 「那南! 私が煩いって事?!」 「そうは言ってないでしょ? 入学式に目立ったら大変なんだし、女の子らしくね」 「わ、わかったよ」 那海が仕方なさげに承諾していると、有眞はフッと微笑むと高校へと歩いて行った。 「那海、掲示板見に行ってみよっか」 「うん、何組かな」 那海と那南が掲示板付近に向かうと、背の高い男の子が立っていた。 「いっぱい居るから見れないね」 「…かっこいい」 「ん?」 那南が那海の視線の先を見ると、背の高い男の子を見ているのがわかった。 「…那海ったら、面食いね」 「那南は違うの?」 「私は別に恋なんてしにきてないから」 「ふぅん? じゃあ、勉強に勤しむって事?」 「普通はそうでしょ?」 那南がそう真顔で告げると、那海は居らず背の高い男の子に話しかけていた。 (もう、那海ったら! すぐ単独で動くんだから) 「君、余所見してたら危ないよ? 新入生かな」 「あ、そうです」 「…ふぅん」 茶髪にピアスを開けているイケメンは微笑むと、那南の手を掴んで掲示板付近から人気がない所に連れ出した。
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