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「だから、入学式の準備って言ってるんだが?」 「あっ!」 「凛月、お前生徒会長なんだからちゃんとしろ」 「遥河がやったら良かったじゃん?」 「成績で決まるから仕方ないだろう?」 「フンッ 那南ちゃん、またね」 「は、はぁ」 「じゃあな、黒河… 那南」 「へ?」 「双子だし、紛らわしいな? そっちにしてもいいか?」 「は、はい」 那南は嬉しそうに笑うと、凛月はやはり面白くないのか拗ねていた。 「遥河、何か仲良くない?!」 「読書仲間だったんだ」 「ふぅん? 付き合ってなかった訳?」 「…んー どうだったかな」 「遥河?!」 「付き合ってないよ?」 「なら、いいけど…」 「凛月、本気か? また遊びなら許さないぞ」 「本気だよ! 一目惚れしたんだよ」 「ふぅん、珍しい」 遥河は珍物を見るような顔で凛月を見ていたが、フッと微笑む。 「まあ、程々にしとけな? 有名人の娘だから」 「有名人?」 「フッ 黒の探偵は知っているだろう」 「あ、あの?! すぐに解決してしまう天才の?」 「うむ、面白いな。 とても興味深い」 「ふぅん? 会ってみたいのか?」 「そうだな? 彼女に頼んだら会えるやもしれないな」 遥河はフッと嬉しそうに微笑むと、並んでいるパイプ椅子を奇麗に直していた。 「那南、何処行っちゃったのかな」 「フッ 那海の双子の妹か… 似てる?」 「うん? 似てるけど、どうして?」 「区別付けないとだろ?」 「そ、そっか」 那海が話しているのは先程の背の高い男の子で、月嶋 咲真と言う名前らしい。 「…」 「な、何?」 「嫌? 那海は運動好き?」 「うん! スポーツ得意」 「妹ちゃんは?」 「読書マニアかな」 「全く違うんだな? 面白い」 「咲真はバスケ?」 「うーん? 別に部活は興味ないんだけど、趣味ぐらいかな」 「ふぅん?」 どうやら話しかけてクラス表を確認してもらって、双子だと言うと興味を持たれたらしいのだ。 「那海!」 「那南! 何処行ってたの?」 「生徒会長に拉致されて」 「へ?」 「遥河先輩に会ったよ」 「ふ、ふぅん? 懐かしいわね」 那海が懐かしそうにそう告げると、那南は気付いたようにこう告げる。
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