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「そちらは? さっきの那海が見てた人ね」 「月嶋咲真よ。 さっきクラス表代わりに見てくれたの」 「あ、ありがとうございます」 「一組みたいだね、3人共」 「あっ… そうなんですね」 那南はクラスが発覚して安心したが、那海はジッとこちらを見ている。 「那海?」 「花どうしたの?」 「生徒会長が付けてくれたんだけど? みんな付けてないね」 「ふぅん?」 那海はフッと微笑むと、咲真と那南を連れて一組クラスに向かうことにした。 「んーと、保護者は待機部屋があるって言ってたよね?」 有栖は支度をして遅れて春咲高校に到着したのだが、何処から入るのか迷っていた。 「あの? 宜しかったらご案内しますが?」 「あ、お願いしま…?!」 「だ、大丈夫ですか?」 「あ、大丈夫です。 ちょっと知り合いに似ていたもので?」 「坂城 飛鳥と申します。 保険医なのですが、本日は入学式ですから」 「新さんのお兄さんですか?」 「新をご存知で?」 「はいっ 主人の親友です」 「失礼ですがお名前は?」 「黒河です」 「なるほど、黒の探偵の…」 「ご存知なんですか?」 「この町で知らない人は居ませんよ?」 「そ、それはそうでした」 有栖は照れくさそうにそう告げると、飛鳥は保護者待機部屋へと案内してくれた。 「では、式が始まる前にまた誘導員が来ると思いますので」 「ありがとうございます」 有栖はペコッと頭を下げてお礼を言うと、席に座って榛名にメールしていた。 「ふむ。 有栖くんは到着したようだね」 榛名はフッと微笑んでメールを返していたが、こちらも中学の保護者待機部屋にいた。 榛名は満足そうにメールを眺めていたが、イケメンなので目立ってしまっていた。 その頃、有眞は2組教室で読書をしながら入学式の時間まで暇を潰していた。 「黒河くん、おはよう」 「椎名さん、おはよう?」 「クラス同じだったから…」 「うん、そっか」 有眞は分かっていたが敢えてそう告げると、椎名夕華はフッと微笑む。 「どうかした?」 「席隣みたいだね?」 「あ、そうなんだ?」 有眞はまた素知らぬ風にそう告げるが、夕華に本を取り上げられた。
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