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「椎名さん?」 「黒河くん、図書室行かない?」 「え? でも、入学式まで時間…」 「ほら、行こう」 夕華に手を取られて有眞は戸惑っていたが、内心では嬉しい気持ちだった。 何故なら、椎名夕華こそ有眞が気になっている人物だからだ。 「わぁ〜 図書館みたいになってるね」 「うん、そうだね」 有眞が冷静にそう告げると、夕華はクルッと振り返るとフッと微笑む。 「…な、何?」 「黒河くん、私の好きな人知ってる?」 「え? 知らないけど?」 「…そうだよね? 知ってたら大変だよね」 「だね」 有眞は悪までも普通に返したのだが、夕華は可愛い顔をピンク色に染めていた。 「そろそろ戻ろうか?」 「…待って」 「椎名さん、どうしたの?」 「黒河くん、好きな人居る?」 「…居るけど?」 「…そっか」 夕華は残念そうにそう告げると、図書室から出ようとするので有眞は止めた。 「…?」 「俺が気になってる人知りたい?」 「…知りたいけど、私に言っていいの?」 「当然でしょ? 俺が気になってるのは椎名さんなんだから」 「…! ホント?」 「うん」 有眞は真顔で頷くと、夕華は嬉しそうにギュッと抱きついてきた。 「し、椎名さん?!」 「嬉しい」 「え?」 「私も有眞くんが気になってたの…」 「…! ホント?」 「うん」 夕華はフッと微笑むと、有眞は嬉しすぎて仕方がない。 「あ… 入学式行かないとだったな」 「有眞くん、目閉じてみて」 「?」 有眞は黙って目を閉じると、夕華はフッと微笑むと唇にそっとキスした。 「行こっか」 「…?!」 「有眞くん? 行かないの?」 「い、今…」 「ふふっ 簡単に目を閉じたら危ないよ?」 夕華はフッと悪戯な笑みを見せるのだから、有眞は顔を赤らめて照れていた。 「ほら、入学式遅れちゃうよ?」 「う、うん」 「それとももっかいしてみる?」 「…!」 「なぁーんてね?」 夕華が冗談めかした感じでそう告げると、有眞はこう告げる。 「夕華がしたいならいいけど?」 「…?!」 夕華がビックリした顔をしていると、有眞はフッと微笑むと軽くキスした。
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