夏の夜の訪問者

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「母ちゃんが可愛がってた猫にそっくりだ」  社長の妻は他界しているのだが、生前は保護猫の活動に精力的だった。 「美味かったか」 「ニャー」  社長に返事を一つして、窓の隙間から出て行った。 「社長、泣いてます?」 「ぬっ、そんな訳無いだろうが」  そう言いながら窓を閉めてブラインドカーテンを下ろした。 「帰るぞ」 「……はい」  二人は帰り支度をしてドアへ向かう後方でカタカタと音がした。 「え?」  さっき移動させた梱包材がパタリと倒れた。 了
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