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どうしようもないような恋をしている。
いつから狂ってしまった?
わからない。わからないけれど。
キミがどんなクズだろうと、きっと変わらず愛してる。
毎日の日課。
0時からの寝落ち通話。
毎日のちょっとした楽しみになってゆく。
甘くて蕩けるような、頬を染めらすささやき。
キミの寝息を聴きながら床につく。
等間隔で聞こえるシャーペンの音。
カランと響くコップの氷。
鳴り止まないLINEの通知音。
無意識に溢れる鼻唄。
歯磨きの音すらも、
今この瞬間聞こえているのは私だけだと思うと、
優越感に包まれる。
あの子は聞いていない、たかがそれだけで嬉しくて。
そんな自分が嫌いで、忘れてしまいたくて、そっと眠りにつく。
複雑な家庭環境すらも、キミと揃いならいいの。
愚痴を聞く事だって、苦じゃ無いの。
私にしか話せないなんて、きっと嘘だってわかってる。
好きな人が居ないなんて嘘もわかってる。
叶わない恋を埋める為なのも全部わかってる。
私じゃない事も全部、ぜんぶ、解っているの、ほんとうは。
口から簡単に飛び出すかわいいも、好きも、
キミと私とじゃ、重さが違うことも。
キミに愛されているあの子になれたなら。
どんなに良いだろうか。
私なら、あんな風に嘘なんてつかないから。
私なら、キミにそんな顔なんてさせないから。
ねえ、おねがい、私を見てよ。
この女ウザイんだよなって送ってきたLINEのスクショ。
キミの事が好きで好きでどうしようもないような文面。
甘く囁くような返答。
いっそ突き離してしまえばいいのに、
好いてくれてるのは嬉しいからって。
可哀想なその子。
それでも、そんなキープとの会話すら見れている事に
また優越感を感じてしまって、自己嫌悪。
…キミの中の私は、なんですか。
キミに愛されたくて、その愛を他の愛で埋めたくて、
あの子と同じような事をしている。
笑顔で媚売って、その気にさせて。
期待させるような、思ってないことだけを吐いて、吐いて吐いて。
受け売りばかり。生温い会話ばかり。満たされない。
美味しくない。美味しくないや。
何の味もしないサラダを、口に運ぶ作業。
病んで、病んで、病んでいく。
他の人には上手くいくのに、キミにだけ上手く行かない。
どうして。どうして。
こんなはずじゃなかった。きっと、そうだった。
良い子にしてるから、良い子になるから、抱きしめてよ。
ずっと都合のいい子のままで構わないから。
思ってなくても構わないから、生温い愛で構わないから、
満たして。
勘違いでいいから、どうかおねがい。
行かないで、今だけ。今だけだから。
明日にはまた上手く笑ってみせるから。
泣いても泣いても気が済まない。
もっと、もっと他の愛で満たさなきゃ。
沼ってしまう前に、気づきたかった。今更だけど。
キミもクズだけど、キミのせいで私もクズになりました。
いいけどさ、別に。
キミの嫌いな香水は捨てた。
髪だって切った。
キミの好きなミルクティー色の髪は、痛んだままで。
いくらキミの好きなタイプになろうと、
それでも、キミは私を好きにはならない。
きっと、永遠に。
鳴り止まないLINEの通知音。
キミからの通知だけを気にして、探して、閉じる画面。
すり減る心。行き場のない愛。歪んでいく。
ぐにゃぐにゃり。
0時になったらまた、着信音が鳴ると信じて。
紅茶を飲み干して、それまでは、おやすみ。
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