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「えっ、あ……あー? どうしたんスか」
「なんで帰っちゃうの!?」
「帰っちゃうも何も」
あなたが同級生を選んだのでは? と言いかけた直前だった。先輩がぼろぼろと泣き出した。
「よかった、まだ、いた、私のこと見える人……」
は? と思った瞬間だった。妹に、奇妙なものを見るかのような眼差しを向けられた。
「おにいちゃん、誰と話してるの?」
「誰って……」
俺の服の裾をひっぱる手があった。ミコト先輩だった。
街灯の下で見る先輩は、半透明に透けていた。
本当に、文字通り。フィルターか何かで加工したみたいに。
「──っ!?」
「おにいちゃん、大丈夫!?」
「カケルくんー、どうしよう、取られちゃったよぅ」
「っあああ!? なにぃいい!?」
叫び声を上げると、自転車に乗った通りすがりのお巡りさんと目があった。すごく心配そうな顔をされた。
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