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重い足を引きずり駅のホームに辿り着いた私は、硬い椅子に座ってスマホの電源を入れた。
拓也からのメッセージや着信がなだれ込んでくる。
私は仕方なく拓也に電話した。
決め手はメッセージにあった『俺も結婚して安心してたわ、ごめん』だった。
「もしもし拓也? ごめん、起きてる?」
眉間とはいえ謎の青年にキスしてしまった手前、無視もできない。そのくらいの罪悪感、今の私にもある。
「えっ! 寿司、取っておいてくれたの!?」
突然の朗報。そして積み上がる罪悪感。
私が美青年との出会い、その眉間にキスを落としている間に、拓也はサプライズの寿司を前に、一人空腹に耐えていたらしい。今も空腹だそうだ。
「わ、私も何か買って帰るね! じゃ!」
時間ぴったりに到着した電車に乗り込み、大きなため息をつく。
何か買うとは言ったものの、すでに十時を回っている。スーパーなどは閉まっているだろうし、この時間でもテイクアウト可能な店など近所にあっただろうか。
私は悩んだ末にあるものを電子カートに入れ、クレカ決済した。
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