今はただ、背中を預けるだけでいい

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 蝉の騒音に顔をしかめながら洗濯物を干す。ベランダの家庭菜園の野菜たちに水をやる。少しため気味だった洗い物を済ませ、昼食は簡単に冷麦をすする。  その最中、母からかかってきた電話にでて、電話が終わる頃にはグラスの氷は溶けきっていた。   夕飯は昼間の冷麦の残りをすすった。  シャワーを浴びて、さあ寝ようと布団に潜れば、また振動し続けるスマホがわずらわしくて。電源を切って布団に潜り直した。  ──これが、今のわたし(美幸)の日常。  高校2年生になって、わたしはこのマンションの一室に1人、放り込まれた。    彼と出会ったのは、そんな今から少し前のこと──。
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