絶望

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 結局、母さんがもう戻ってこないと知ってからも。俺の生活はあまり変わらなかった。  今も昔も変わらず、泣いたり、弱音を吐く事は出来ない。勿論、紘さんの事を父さん。と呼ぶことも。 他人として見て来たから、今更。父親と言われても。ピンと来ない上に。最初から父親がいない家で育った俺の家族はずっと母さんただ、1人だ。  だけど、昔と比べたら。睡眠時間は少なくなった。眠っていた時間は、その分信頼出来る親友、一緒に好きな事を楽しめる友達、それに、世界で1番大切な人と過ごす時間へと変わっていった。  けど、時々どうしようもない不安と悲しみに押しつぶされる。寝る前は特にそうだ。思い出すのはもちろん、母さんの事。  まだ、どこかにいるんじゃないか。ひょっこり帰ってきて、俺の事を待っていて、美味しいご飯を食べて、2人でホットミルクを飲みながら、テレビを見て笑ったり、色々な話をして。  一緒に風呂に入ったりするのは、流石に恥ずかしいけれど。母さんと同じ布団で眠って、母さんの優しい声で起きて。  休みの日はどこか遠くへ出かけて。そこで母さんの作ったご飯を食べて、遊んで帰りたい。    そんなことばかり考えながら、俺は今日も1日を終えるのだ。  俺は今日も、母さんを想いつづける…  
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