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競技の一つの玉入れは陽翔も参加できるとのことだったので、茂と一緒にカゴの元へ向かう。茂と二人で行くのは緊張したけれど、手を握ってゆっくり歩いてくれたので少し安心した。
「いいか陽坊、気合を込めて投げるんだぞ」
「うん!」
カゴの近くに来たのはいいものの、カゴは一つしか立っていないし周りを見回しても地面に玉が落ちていない。困って茂を見上げるとニヤッと笑う。そのまま体が溶けるように小さい球に変化する。
「茂じいちゃん!?」
慌てて腕を伸ばすと、十個ほどの白い玉が腕の中に収まった。
「魂入れは人魂を一つのカゴに向かって投げ入れる競技だ。相手の妨害をしつつ、多く入れたチームが勝ちになる。カゴめがけてなげりゃ、わしが絶対入ってやるからはずすなよ」
玉から茂の声が聞こえるので、驚きつつも頷く。妨害がよく分からなくて質問しようとしたが、開始の掛け声がしたので慌てて構えた。
茂に教わった通り、カゴを狙いをつけて投げる。陽翔の手を離れた球は急加速してレーザービームのように飛んで行く。
「うまいぞ、陽坊!」
「うん!」
褒められて嬉しくなり、次の玉も思いっきり投げる。カゴに向かっていた玉が相手チームの赤い魂とぶつかりそうになると、閃光がはじけるように激しくぶつかり合う。空中戦を制したのは白だ。赤い玉を弾き飛ばしカゴの中に納まった。
「すごいや!」
大迫力の玉入れに陽翔は夢中で投げていた。
結果発表の時にカゴから飛び出す玉たちは打ち上げ花火のようで、勝ち負けがどうでもよくなるぐらい綺麗だった。
こうしていくつもの競技が終わり最後のリレー。皆が本気を出すためか若い姿に戻って走っている。速さに違いは無いけれど気持ちの問題らしい。白熱する勝負に勝ったのは白組で茂に肩車をされながら一緒に喜んだ。
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