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ーーどうして。
僕ばっかりどうして。
どうしてこんなにも不幸なのだろう。
いっその事友達と遊び、毎日笑っているだけで良かった子供の頃に戻りたかった。
嗚咽を漏らし。泣きじゃくり。持っていたスチール缶をぐしゃりと握り潰した拍子に、手にぴりとした痛みが走る。
缶を素手で潰したせいで鋭利な刃物のようになり、皮膚を傷付けてしまったのだろう。
流れ伝う血が、まだ僕が生きている事を訴えていて、死にたくなる程に虚しくなってきた。
辺りは暗い。真っ暗闇で、一寸先も見えない状態だ。
もう、この辺で良いか。
そう思い立ち上がろうとしたところで、足下にころころと、何やら丸くて光る物が転がってくる。
何も光がない筈なのに、やけにそれだけが綺麗に輝いていて、目に眩しいくらいに美しい光景に見えた。
ーー何だ?
不思議と怖くもなかったので、転がってきて以降全く動かないそれを手に取ってみた。
ーーああ。これは……。
真っ暗闇の中でもきらきら輝くのは、中に青い筋がマーブル状に入っているビー玉であった。
一見何の変哲もない物であったが、そのビー玉に僕は見覚えがあったのだ。
昔、大好きだったけど、告白も出来ないで離れてしまった女の子が大切にしていた。とても綺麗な色のビー玉だった。
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