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放送委員会に入った俺は、あれから委員会や部活勧誘の断り文句として「もう委員会に入った」と言って押し切った。あのままじゃ流されてあっちこっちに体験受けさせられてた気がする…。
良かったー、入っておいて。
「ゆりー、ぼーっとしてないで行こー?」
「···どこに?」
頭をコテンと傾げると、瑠衣はハァーとため息をついた。
「もう!今日は新入生歓迎会!昨日くじ引いたでしょ~、ゆりは逃げる方だったじゃん?それで今から体育館に着替えてから集合なのー!」
「そうだったっけ……?」
ぷんすこ怒りながら、俺の腕を引っ張っていく瑠衣と共に体育館へ向かう。
「すごい人……」
「まぁ、全校生徒いるしね〜」
体育館にはもう既に多くの生徒が集まっていて、おそらくクラス順に並ぶんだろうけど、位置が分からないほどだった。
うーん、めんどい。
かき分けるのも疲れそうだし、でもクラスの方に集まらないといけないんだよね……うわぁ、この人混みに入って辿り着ける気がしないよ……。
「あっ、いた」
瑠衣が何かを見つけたようで、ずんずん歩いていく。
瑠衣に気づいたのか、ススススーと人が避けてくれる。
うわぁ、すご……
なんかレッドカーペットみたいだ。瑠衣すごいよ〜
「おーい!田中ー!」
田中?だれ?
「えっ!?瑠衣様と天使…あっ、黒羽様っ!?!」
オロオロする俺と同じくらいの背丈の人、田中と呼ばれた彼は俺を見ると残像が見えるほど震えていた。
何故?
「いやー田中のその平凡オーラのおかげでクラスの場所分かったよぉ、ありがと〜」
瑠衣……それ褒めてる?
なんだ平凡オーラって…
「はっ!」
え?軍隊?軍隊なの?なにその返事の仕方。
「ゆり?こいつ田中。多分クラス委員長」
まって、なんか田中が可哀想に見えてくるんだけど…。
ちょっと田中しょぼんってしてるし!諦めを含んだ顔で遠く見てるけどどうした!?田中!!
「あぁ、やっぱり僕は田中だから……はは」
なんだか形容し難い諦観を感じた。なんだか分からないけど、苦労してんだな。
「……おつかれ」
「はっ!」
え〜、俺にもその返事?
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さくしゃ たなか おし
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