金色にまもられて

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「大将、チャーシュー麺大盛り、麺固め、ネギ多めで」 「ハイよ!佐々木さんいつもよく食べるねぇ!」  そう、私はいつもこのラーメン屋に来ると決まって大盛りを頼んでしまう。店主とも顔見知りになってしまい、今や大将・佐々木さんとお互いを呼び合う仲になっている。  だいたい夜の8時以降に来ることがほとんどだから完全認知されるのも早かった。  会社終わりでもう今日は何もしたくない、またはストレス解消にドカ食いするぞと決意した時に立ち寄る。  最近はその頻度が高まってきているが、やめられないのだ。女としてどうなのかと自問することも多々あるが、やめられないのだ。 「お待ち!チャーシュー麺大盛りね!」 「ありがと~」  今日も今日とて、会社のお局さんに徹底的に嫌われて泣きそうになった。私が何をしたっていうのさ。挨拶しても無視するクセに私が本当に小さなミスをした時は猛烈な勢いで問い詰めてくる。  いい加減今の会社辞めようかな。  そんな陰鬱な気持ちを飲み込むように、目の前のチャーシュー麵大盛りに食らいつく。  まずはチャーシューを麺の下に入れ、レンゲでネギをスープに押し付けるように浸す。その動きの流れでスープをすくって口に運ぶ。  ああ、夏に食べるラーメンもやっぱ最高だ。
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