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シーン・その1・イシュタルちゃんの一目ぼれ事件
<シーン・その1・イシュタルちゃんの一目ぼれ事件>
ウルクの街は、ギルガメシュ王のフンババ征伐の勝利パレードで賑わっています。
当然、イシュタルちゃんも自分の神殿の屋上から、そのパレードを見ていたでしょう。
ギルガメシュ王は大きな輿(こし)に乗り、金・銀の飾りをつけた紫の長衣を身にまとい、
頭には黄金の月桂樹の葉の飾りが、陽光に反射してきらめきます。
王を見た、イシュタルちゃんのハートはドキドキ、キュンですぅ!
「えーーー、何?、あの人、欲しいんだけど、キュン」
肉食系女子は、すぐに行動に移します。
ストレートで直球です。ためらわない!
神殿の屋上から、パレードをストップさせるように、使者を出します。
ザワザワザワ
「おうっと、なんだよ」
ギルガメシュ王は、いきなり、神殿から、わらわら出て来た聖娼たちに
驚きます。
聖娼たちは輿を止めるように、道のど真ん中に次々に出て来て、ひざまずき
ひれ伏します。
聖娼たちがひれ伏す中、純白の薄手の衣を翻し、八亡星の髪飾りをつけて
偉そうに着飾った女がスタスタ歩いてきます。
なかなかの貫禄があります。
「あいつは誰だ?」
ギルガメシュ王は、近くにいた従者に聞きました。
「神殿のイシュタル様でございます」
「ああ、あいつかぁ、イシュタルって神だよな」
王は、眉の間にしわを寄せました。
ギルガメシュ王は、神とは言え、上から目線のえらそうなオンナは
好きではなかったのです。
そうこうするうちに、イシュタルちゃんは、輿(こし)の正面にやってきました。
さすがに王も、神には無礼な態度はできません。
ましてや、ウルクでは、イシュタルちゃんの神殿は人気スポットですから。
王は、別に神殿に行く必要もなかったけど、オトナ対応です。
ギルガメシュ王は輿(こし)から、ひらりと飛び降りました。
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