あの日のこと

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 何と言えば周囲は納得するのだろうか、ラレイルは舌打ちしながら続けた。態度もしゃべり方も崩すくらい、イライラしている。 「そもそも子どもができないのはオレに原因があるかもしれないよね?」 「となりますと、トア様はラレイル様の御子様ではないと仰るのですか!?」  意図せず、リジーの不貞を疑われるような方向に話を持って行かれラレイルは頭を抱えた。 「も~……んなわけないっしょ。トアの力を見れば分かる話だ」  王家の血を引く者でも、特に四天王となった者の血を引く子どもは、生まれながらにして魔法の力――星力(せいりょく)が桁違いとなる。  遺伝子検査と似たような方法で、星力の強さや由来を調べることによって親子関係を確認する方法もあるが、調べるまでもなく、トアがラレイルの子どもであることは明らかだ。バルドルも勢いでああ言ったものの、それは理解している。 「直接的な表現になることをお許しください。……ラレイル様の生殖機能の問題ではない、となるとリザエラ様が――」 「それ以上言ったら許さないよ? というか、トアを産んだのはリジーなんだけど?」 「ぐっ……それは……さようですが…………でしたら、お願いですからきちんと問題に向き合ってくださいませんか。国医のナイス殿も、子どもができないことに対してまずは原因を探すことが大切だと申しておりました。原因が分かれば打つ手もあると」
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