あの日のこと

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 ラレイルは姿勢を正し、リジーに向き合った。優しく彼女の手を握る。 「ダーリン……真面目な話。君はどうしたい? 君が望むならしっかり検査して、子どもを作るために出来る限りのことをしてもいい。またはそうしなくてもいい」 「……」  リジーに決定権を委ねるのはズルい気がしたが、ラレイルは自分の気持ちを正直に伝えた上で、彼女の気持ちを尊重したかった。結局のところ妊娠出産という出来事において負担が大きいのは女性側なのだから。  しばらく沈黙が続いた後、リジーが口を開いた。 「ラレイル……」 「うん?」 「…………私、分からないわ……」  うやむやにしたくはないが、検査すると決めるのは怖かった。  上手く行くかもしれない。上手く行かないかもしれない。  もし、駄目だとはっきり分かってしまったら?  しかしこのまま何もしないわけにはいかないことも、リジーは分かっていた。  一方、ラレイルは全てを受け止めるつもりだ。 「悩み続けるのも怖いかもしれないけど、結論を出さなくてもいいよ?」 「でも……」 「いいんだ。あ、でもこれだけはお願い! これからもたっぷり愛し合おうね♡」 「……」 「ありゃ? 返事は?」 「ふふ……もちろんよ」 「……どんな状況でも、オレがリジーを愛しているのは変わらないから」 「うん……」 「みんな、これからも色々言うと思う。でも言うヤツは結局どんな状況でも好き勝手言うんだ。だから気にしなくていい。このことでリジーに嫌な思いはさせない。オレが守るから。約束するよ」 「……うん……」 「……おいで」  ラレイルはリジーを抱きしめた。彼女の不安も恐れも、涙と一緒に受け止めた。 ・ ・ ・
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