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どうやら彼女たちは、一番細身で小柄の女子社員が、入社当初から佑が好きで三度も告白したのに、色好い返事を貰えないばかりか曖昧な大度で躱すのは如何なものか、と、難癖をつけているらしい。
「お堅い生娘でもないんだし、ちょっとご飯くらい食べたりしたら、好きになるかもしれないでしょ?」
「そうよ、そうやってお互いの距離を詰めればいいの!」
「そういうモンでしょ、恋愛なんて」
知ったような言葉を次々と口にする、少しばかり制服が窮屈そうな体型の女性たちに囲まれ口を噤む佑の瞳が、黙って見ていた遼平の方を向き、その目を不意に捉えた。
「!」
ばちっ、と音が聞こえるほどの勢いで視線が絡んだと気づいた遼平の顔が僅かに紅潮すると、それに気がついた佑の表情が和らぐのが分かった。
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