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(セックス、って)
こいつなに言ってんの、と思う気持ちが、遼平の胸へいの一番に沸いてくる。
オレたち男だぞ、ヤロー同士でそんなんしたっていい訳ねぇじゃん、と思うままに佑の顔を凝視していると、コーヒーミルク色、というより、日差しが指すとアーモンド色にも見える澄んだ瞳を見続けられなくなった佑の眼差しが、ゆっくりと逸れて行った。
ちょっと、それってマジなの? と言おうとした唇が鯉のご飯タイムのようにただ空気をぱくぱくと食む。
遼平と同じようにワイシャツのボタンを外し、緩めたネクタイの先を胸ポケットに突っ込んだ佑は、ビールをちょっと飲んだだけなのに、もう酔ってしまったとでもいうのだろうか?
(いやいや)
こいつは下戸のオレと違ってうわばみだって知ってるし、と思いながら、手にしていた缶へ視線を落とすと、
「あ、コレ、新発売のヤツだ」
と、ぽこっと頭に浮かんだ言葉を遼平はそのまま口にした。
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