11人が本棚に入れています
本棚に追加
「――……むしろ、良かったと思うべきなんじゃないか」
今では数少ない、人間のままの友人が、僕の部屋にわざわざ飲みにやって来て言う。
「人が減って生きやすくなったし、地球は救われた。これは神さまが行った淘汰だ」
「ことに君は幸せ者だ。彼女の愛情の形を毎日その目で、確かめることが出来るのだから」
厭世家で人付き合いの苦手だった、彼らしい理論。
彼は僕を羨ましいとさえ言う。
愛情の形。
確かに僕は愛されていたのかもしれない。
けれど僕は彼女の表皮の捻れ具合から、穏やかな感情を感じ取ることは出来なかった。そこにあるのは深い悲しみや恨みの感情であるように思われた。
三年経った今でも、それは変わらない。
最初のコメントを投稿しよう!