森に還る

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「――……むしろ、良かったと思うべきなんじゃないか」 今では数少ない、人間のままの友人が、僕の部屋にわざわざ飲みにやって来て言う。 「人が減って生きやすくなったし、地球は救われた。これは神さまが(おこな)った淘汰だ」 「ことに君は幸せ者だ。彼女の愛情の形を毎日その目で、確かめることが出来るのだから」 厭世家で人付き合いの苦手だった、彼らしい理論。 彼は僕を羨ましいとさえ言う。 愛情の形。 確かに僕は愛されていたのかもしれない。 けれど僕は彼女の表皮の(ねじ)れ具合から、穏やかな感情を感じ取ることは出来なかった。そこにあるのは深い悲しみや恨みの感情であるように思われた。 三年経った今でも、それは変わらない。
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