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トイレ行きたい!!
と思って目が覚めた。早う寝てもうたから、変な時間に目覚めてもうた。
どないしよ……
父ちゃん起こすか。
「父ちゃん、トイレ」
「……」
返事がなかった。ゴソゴソ動いて自分の秘密基地から出て父ちゃんを起こそうと思ったとき、姉ちゃんも出てきた。
「なっちゃん、寝かしといてあげ。私が付いてくわ。私も行きたいから」
「う、うん」
ま、ええか。ちょっと不安やけど。わいは、ウルトラマンと仮面ライダーの人形を取り出して、「行くで!」と声をかけた。これで、完璧や。
「なっちゃん、手繋ぐか?」
「ええ大丈夫や。わい夏の夜、もう怖ない」
「あ、そう」
こうして、原っぱの端っこにある公衆トイレに行ったんや。
明るくて綺麗なトイレやけど、やっぱりそれなりに怖いな。
「じゃあ、なっちゃんはそっちで」
と言って、姉ちゃんは女子トイレに行った。
わいは、気合を入れて男子トイレに入った。立ってすると後ろが怖いから、わいは後ろの手洗い場に「頼むで」と言って、ウルトラマンと仮面ライダーを立たせた。だけど細い足やから、なかなか立ってくれへんかった。
「だから飯食えっていったやろ。ほんまに」
それでもやっとこさ立たせて、わいはおしっこをし始めた。大丈夫や後ろにはウルトラマンも仮面ライダーもおる。安心して、おしっこをしてると。「カタッ」と背後で音がした。
「なに!?」
ハッと顔だけ後を振り向くと、ウルトラマンが倒れとった。そして、「カタッ」と仮面ライダーも倒れた。なんかいる!!
あーわーあーわーあーーーーーー。
ばっちゃんバリアを張ろうと思ったが、まだ手を離せへん。それにハッとここで気づいた。ここ男子便所や、ばっちゃん入ってこられへんのちゃうか?
(;゜○゜)アァーーーーーーーーーー!!あかん。オ・ワ・タ……
どうしよ、どうしよ、どうしよ……
と思いながら、なんとか急いで終わらした。
そして、ウルトラマンと仮面ライダーをつかんで外に猛ダッシュや。
「どないしたん、なっちゃん。なんかあったん?」
「ハァ、ハァ、ハァ、ちゃう。こ、こいつらがあかんねん」
とわいは手にしたウルトラマンと仮面ライダーを見つめた。
「だから、ご飯モリモリ食べろって言いてるのに! もうちょっと太りや」
「それ、なっちゃんがいつも言われてる事やん」
「……」
そやった。わいも毎日言われとったわ。
「もう、ほんまビックリさせんといて、なっちゃん」
わいはドキドキ、そしてちょっとまだ怖さで震える手で姉ちゃんの手をそっと握った。
「何? ……ま、ええわ」
「……」
そうやって、姉ちゃんとトイレから戻ってきたんや。
「あ」
「……?」
「姉ちゃん、ごめん」
「ええよ別に」
ちゃうねん。あのなー、あの、わい手、洗ってなかったわ。もうし訳なさそうに姉ちゃんをみると、優しく微笑んでくれた。(´∀`)
「ごめん」(>人<)
ともう一回謝ったけど、理由は言わん事にしといた。
そのあとは、星空を見ながら姉ちゃんとちょっと話をした後、ぐっすり眠った。何を話したかよく覚えてへんけど、何か不思議な感じやったなー。宙に浮いて星空に吸い込まれていくような、異世界にいるような感じがした。トイレも含めて夏の夜のええ思い出や。楽しかった〜。
最後に、もう一回だけ姉ちゃんに謝っとこう。ごめんな姉ちゃん。
理由は言わんけど。
Fin
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