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広間の照明が一斉に暗転する。ざわめく人々。
「誰だ今の声は!」
「おい灯りつけろ!」
重厚なギター音が響く。場は静まり返った。何だ何が起こった。そうこうしているうちに、見覚えのない人影に気づく。足元にはアンプ。そしてギターと、マイク。
「さあ、今日もライブ、始めるぜええええ!!」
照明がぱっと明るくなる。ハットをかぶった白いロンT姿の男が軽快にギターをかき鳴らし、群衆は呆気にとられた。
「皆さんこんにちは、シンガーソングタンテーの明石真実です!」
『シンガーソングタンテー』……!? まずどこから入って、いつの間に音響を整えた。そして何を勝手に他人の家の照明を操作している。刑事、何か言え。なぜ一緒に最前列で盛り上がっているのだ。
「それじゃ、早速今日の曲いってみましょうか!」
聞き間違いじゃなかった。やはりこの男は何か知らないが歌うつもりだ。
「真実さんだ!」
「真実が来てくれたら間違いないぜ!」
「明石さーん!!」
なぜ知ってる人がいる。有名なのか。どの界隈で名を馳せているんだ。
それに応えるようタンテーはフォーク調のコードを奏で続ける。
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