シンガーソングタンテー

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「この事件の犯人、みんなは知らない。でも僕は知っています。それを歌にしました。聞いてください『それは君さ』」  え、今から、犯人を歌で発表するってこと? そういうシステムで行くの? 「♪きれいな洋館 素敵な予感 だけど起きたのは事案 出てきた毒は特製 ありすぎて個性 できない特定」  踏むな、韻。 「♪だけどそれが手掛かり 一番の近道 わかったぜ今 全ての真実」  ……なぜだろう。少しドキドキしてきた 「♪犯人 それは君さ 盛田! 盛田! 盛田!」  言った! 犯人言った! そんな感じで言うのやめろ! というか盛田様!? そんな馬鹿な……皆が盛田様の顔を見つめる。 「♪Say 盛田! Say 盛田! Say 盛田!」  コールアンドレスポンスするんじゃない! こんな馬鹿馬鹿しい推理など、悪ふざけがすぎる。さすがに温厚な盛田様もお怒りに……。  え、体震えている。盛田様体震えている。まさか、正解? 本当なんですか? 「♪薬品会社の盛田社長 自前の毒を自分で調合 捜査をかわそうと 百鬼夜行 ありがとう!!」    ……終わったようだ。刑事たちは歓声を上げるが、一方のご家族と盛田様は修羅場である。 「盛田さん……本当なのかよ!」 「……そうです。私が理事長の皿に毒を入れました。既存の毒物だとすぐバレると思って、会社にある薬物を混ぜて作りました。意味がなかったみたいですけどね……」  表情を変えることなく盛田様は告白した。あの暗い表情は、友人が倒れたことへのショックからと思っていたが、違っていたというのか。 「どうして、どうしてそんなことを!!」  信之様がつかみかかる。  その時、再びギターが鳴り始めた。
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