3年越しの花火

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その夜、麻季が夕飯を作って待ってる家に行った。 [遅い!せっかく来る時間に合わせて作ったのに!」 といつもの愚痴から始まった。いつもはごめんと謝って宥めるが、今日は何故だか反論をしてしまった。 「時間通り来られないのは今始まった事じゃないだろ!いい加減わかってくれよ」 「何開き直ってんのよ!」 俺は麻季の反論を聞いてはいたが、頭の中では別の事を考えていた。 前に彩に俺が遅れてもおこらない理由を聞いた時 「忙しい合間を縫ってやっと会えたんだから楽しい時間にしたいじゃない?」とおどけて笑っていた。 そんな事を思い出す事自体もう麻季とは駄目なのかとの思いが過った。 言い争いは終わり食卓に着いた。 「ねぇ卓、今度の花火大会はちゃんと時間とってあるよね?」 当然の様な顔つきで食べ物を口に運びながら試す様に俺を見る目を見て、俺は賭けをした。 「あぁ、その日なんだけど、その前にひとつ寄る所があんた。黙って行ったら麻季に裏切り行為するみたいだから言っておこうかと思って」 「何処?」 「元カノの家にお礼をしに……勿論あれから3年経っているから結婚して家にいないかもしれない。だけど先日同期の友達から俺の新商品を買ってくれてる時に会ったって、それだけで?って思うかもしれないけど、その商品に悩んでる時助言してくれてたから。お礼の品を届けるだけ」 「はぁ?何それ!元カノは卓の仕事に協力的だったって、私への当て付け?」 麻季はわなわなと唇が震えている。
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