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「でもさ、別に盆踊りまで主催することねぇだろ? な?」
いつの間にか、とっくの昔に廃れた街の盆踊りを復活させ、今年数年ぶりに開催する運びとなった。
場所はかつて盆踊りを開催してた、駅前の公園。櫓を組み、提灯を飾り、出店を出し、いきいきと裏方として働く彼の姿をそばで見つめていたのだった。
「素晴らしい文化だと思わないか? 日本のハロウィンは踊りを踊って楽しむなんて、最高にかっこいいじゃないか」
でっかいパーティー小僧は、特注の浴衣を着て得意げに笑った。俺の浴衣も特注でちゃっかり頼んでいて、しっかり着せられてしまった。
俺は紺色、こいつは辛子色。素材は最高級の麻。夏っぽいったらねぇな。
迎えた当日、会場は超満員の大賑わい。日本三大盆踊りってこれか?ってくらい人で溢れかえっている。
「最高だな! こんな楽しい祭り、見たことがない」
全体を見渡せる本部の櫓の上で、俺と並んでその様子を眺めていた。
手配も全て彼がやったようなもんだから、自分手作りのお祭りみたいな感覚もあるんだろう。楽しいに決まっている。
「ハニー、踊りに行かないか?」
帯にうちわを挟み込みながら言う。そっと手を差し伸べてくる感じが、盆踊りじゃなくて舞踏会みたい。
「踊り方覚えてるか?」
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