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「部活ってね、今日、何日よ? 29日でしょ? そんなギリギリまで部活があるはずがないじゃないの」
「部活だもん」
「何部よ? どんなスパルタ運動部?」
「美術部」
「美術部……。顧問の先生、可哀そう。さてはムッちゃんが無理を言って、やらせたんでしょ? こんな年末ギリギリまで学校に来させるなんて、先生が可愛そうよ」
「だって、友香が部活やりたいって言うから」
「えっ、私?」
矛先を向けられて、ぎょっとして夢月を見やる。
だが、美月は友香が何か言う前に夢月を窘めてくれた。
「違うでしょ。ムッちゃんが部活を理由に友香ちゃんと一緒にいたかっただけでしょ」
そうだったのかと思い返してみる。たしかに、こんな年末まで部活をやるなんておかしいと思った。夢月が顧問に強く言ったに違いない。
「ねー、ねー」
廊下から声が響き、ゆっくりした足音が近づいてきた。
「もしかして友香ちゃん来てる? お持ち帰りしてきたんじゃないの?」
歩み同様ゆっくりとした口調だ。ひょっこりと居間に顔を出したのは、夢月とそっくりな顔をした青年だ。青年――と、一目ではっきりと分かる時点で夢月とは異なるが、性別がはっきりしていること以外は、夢月そっくりである。色素の薄い髪は柔らかそうで、目鼻立ちはくっきりとしている。すらりと背が高く、無駄な肉はない。そして、黄水晶の瞳だ。
「なんでうちのムッちゃん、真っ裸なの?」
彼は夢月の兄、華月(かづき)なのだが、なぜこの兄姉は夢月が裸であることがそんなにも気になるのか。
なぜって? 夢月が蛇になったからだよ、と言ってやりたかったが、それよりもこの兄姉が言っていた言葉が気になる。
「あのう。お持ち帰りした人、まだいますか?」
「うん、いるね」
すぱっと簡潔に華月が即答してくれた。
ああ、いるのか。やっぱりっていうか、やっぱり過ぎて、がっかり。
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